心の洗われた支援

先日,病院のソーシャルワーカーさんより相談がありました。

身寄りのない方が入院していて余命が限られているとのこと。

連携している弁護士さんへ相談し,「空」で提供できる支援について検討しました。そして,支援内容についてまとめたものを,ご本人へ書面にて提供してみたところ,支援を受けてくださることになりました。

ご本人は会話をするのもしんどく,自身の思いは友人に話してあるので,その友人と連絡をとってもらいたいとのご希望です。ご友人と連絡を取ってみると,お二人は小学校から70歳代の今まで半世紀以上の関係で,とても絆が強いことが感じられました。

コロナ禍で基本的に面会ができませんが,ご本人は携帯電話を持っていませんでした。ご友人の希望もあり,早急に携帯電話を手配しご本人に持っていただきました。するとすぐに,短いながらも数ヶ月ぶりに二人で話ができたとのことでした。

ご本人は自分の財産をある国に寄付したいという希望を持っておられました。それには相応の手続が必要であり,ご友人にも同席してもらい弁護士さんへ相談しました。病状的にご本人が手続をすることには困難が予想されましたが,ご友人は本人の思いを通してやろうといろんな意見を出されました。

まずは、寄付先について本人の了承を得ようと,その資料をご友人が病院スタッフへ言付けるため,その足で病院へ向かわれました。

しかし,翌日の朝,病院よりご本人が亡くなられた旨の連絡を受ることになったのです。

葬儀の打合せのためご友人と会い,昨日の病院へ行かれたことを確認すると,「本人と会ったんよ!」とご友人が話されます。病院へ行かれた際に,治療に向かうご本人とエレベーター前で偶然一緒になり,看護師さんの配慮で,距離を保ちながらも一言二言会話を交わすことができたとのことでした。

ご本人は,前日に電話でご友人へ頼み事をされていて,その荷物も持って行かれていたのでした。ご友人と私で,偶然とは言え「そういうことだったんですね」と二人で納得したのでした。

病院のソーシャルワーカーさんや看護師さんにも当初より柔軟に対応いただきました。

葬儀当日には,ご友人ご家族に加え,小学校時代からのご友人7,8人も参列され,「そっちが嫌になったらまた戻ってこい」なんて声を掛けられながら,ご本人を見送られました。

ご本人とご友人の,純粋に親友としてそれぞれを思われる関係性に触れ,私の心が洗われるように感じながら,心地よく支援をさせていただいているしだいです。

これから,ご友人とご本人一家の墓終いに取りかかる予定です。

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